呼吸器内科 RESPIRATORY MEDICINE
喘息・アレルギー外来 | 成人気管支喘息・花粉症等を対象とします。個人個人に合わせた予防法、日常生活指導そして最新の治療を行います。 |
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慢性咳嗽 (長びく咳)外来 |
3週間以上長びく咳や喉の異常感でお悩みの方が対象です。声楽家・アナウンサー・教師など声を重要な手段とされる専門家の悩みに対応します。 |
禁煙外来 |
禁煙を志す方の相談、検査、診断、治療に応じます。 |
肺がん検診 | CTを使用し、小さな肺癌も発見できます。重喫煙者には喀痰細胞診検査も行います。 |
息切れ外来 | 息切れの診断と治療を行います。COPD(慢性閉塞性肺疾患:肺気腫、慢性気管支炎)の診断と治療を行います。 |
アスベスト外来 | 石綿(アスベスト)曝露による肺障害を発見するための検査と診断を行います。 |
漢方呼吸器外来 | 呼吸器症状、アレルギー症状を訴える疾患の中には西洋薬では十分に対応できない病態が少なくありません。当院では十分な問診と検査に加えて、先ず西洋医学で十分対応した上で、不十分な時には漢方で対応します。また最初から漢方治療をご希望の方にも対応いたします。 |
禁煙外来詳細
禁煙外来とは
禁煙外来では、まず、どのような検査をするのでしょうか?
胸部CTにて肺胞破壊の程度を調べます。心電図検査にて心臓への負担があるかも調べます。その他、経皮的動脈血酸素飽和度、呼気中の一酸化炭素濃度などを調べます。
問診においては、一日に吸う本数とそれを何年間吸っているかを尋ねます。過去に2週間以上の禁煙をしたことがある方はニコチン依存症から離脱された経験があるということですから、自信を持って下さい。必ず成功します。
タバコに含まれている3つの成分、(1)ニコチン(2)タール(3)一酸化炭素をご存じかどうか尋ねます。
「ニコチン」は、血管を収縮させ、脳出血・脳梗塞や狭心症・心筋梗塞を引き起こします。
「タール」は、60種類以上の発癌物質を含みます。肺癌や咽頭癌はもとより、口腔粘膜より血液に溶け込み、血流により全身に運ばれますので、、全身に癌を引き起こします。
「一酸化炭素」は赤血球の中のヘモグロビンと強く結びついてしまい、ヘモグロビンが酸素を運ぶ役目を強く妨げます。このことの恐ろしさは、数年前に市販のガス湯沸かし器の不具合にて、一酸化炭素中毒を引き起こし、何人もの人が亡くなられた事件をご記憶の方も多いでしょう。禁煙は徐々にガス中毒を起こしているようなものです。
また、一酸化炭素は、血管内皮細胞を傷つけ、動脈硬化を進めると共に、気管支上皮細胞も傷つけます。
他人に及ぼす被害
喫煙者の出す、「副流煙」についても、周囲の人が喫煙者と同様の被害を受けることはご存知でしょう。
お孫さんが、「おじいちゃん、タバコ臭いからイヤだー。」と言って、寄り付かなくなることがあります。その様なおじいちゃんは幸せです。必死で禁煙にチャレンジすることになるからです。
妊娠中であったり、妊娠を予定されているお母さんも同様でしょう。誰しも五体満足で赤ちゃんが生まれてきてくれることを望みます。考えてみて下さい。お母さんのお腹の中にいる胎児は、全ての栄養と酸素を胎盤という血管を通じて、母体から得ています。ここでお母さんにタバコを吸われてしまうと、血管が収縮し細くなり、赤ちゃんは十分な栄養と酸素をもらえなくなります。赤ちゃんの脳神経が最も発育している時期です。この時に、お母さんのタバコのせいで、十分な酸素と栄養が届かなくなるのです。たとえ外見上、五体満足に生まれてきても、脳神経の発達に受けている影響には多大なものがあります。もちろん、お父さんも禁煙するしかないでしょう。
女性の美容に関して
遺伝子情報が同一である、一卵性双生児の美しい20歳の娘さんがいます。20歳になり、社会人として別々の地で暮らすことになりました。一人は20歳から喫煙。もう一人は非喫煙。
30歳になり、再開した二人。一人は、30歳の美しい女性。もう一人は、50歳に見えるかのような容貌です。肌の毛細血管は、酸素を運ぶ赤血球一個が通れるかどうかの細い血管です。酸素と栄養を肌に届け、老廃物を回収しなくてはなりません。その血管をニコチンが収縮させてしまった結果が、愕然とさせられる二人の違いとなったのです。
禁煙を成功させるポイント
禁煙を志す方は、水かお茶が入った「ペットボトル」を常に携行することと、「深呼吸」の二つのキーワードを心得て下さい。タバコを吸いたくなったり、ただ思い出しただけでも、水分を一口二口ゴクンと飲んで下さい。そして、数回深呼吸をしてみて下さい。これにより、喫煙時と同じ、喉の粘膜の神経と胸郭の肋間神経の伸展を満足させ喫煙時と同じ満足感を得られます。
この「ペットボトル」と「深呼吸」を、小学1年生のように素直に守れるかどうかが、禁煙成功するかどうかの分かれ道だと言っても過言ではありません。
自分は意志が弱いから云々と言われる方が時におられます。意志が強い必要はありません。ちゃらんぽらんでさえなければ良いのです。今回は、禁煙外来という強い味方があるのだからと考えて下さい。ニコチンがない時のイライラ感を軽減してくれる貼り薬又は、飲み薬があるのだからと考えて下さい。
今さら止めてみても手遅れ?
「長年タバコを吸ってきました。今さら止めても手遅れです。」と言われる方もいます。酸素を体外から体内(血液中)に溶け込ませる肺胞が壊れてしまったものは、タバコを止めても回復しません。しかし、禁煙すれば、これ以上は壊れませんので、これ以上酸素不足人間になるのはストップできます。両肺で、直径0.1ミリメートルの肺胞は3億個あります。タバコ一箱で、毎日4万個の肺胞が破壊されます。
また、発癌物質による発癌性への影響は、禁煙により徐々に低下していき、5年以上経てば、タバコを吸ったことのない方と、ほぼ同じ発癌の危険性になれるのです。止めた方が得ですね。
一酸化炭素による気道のダメージは、禁煙後の治療により徐々に回復可能です。また呼気中一酸化炭素濃度は、禁煙したその日から、直ちに正常に戻りますので、禁煙の励みにもなります。
世の中のタバコ事情
アメリカは国内ではタバコの宣伝も許可していないのに、日本には、輸出しています。ケシカラン。そうでしょうか。アメリカ国民の健康を守るのはアメリカ政府の努力です。しかし、日本国民の命と健康を守るのは、日本政府の仕事ですが、輸入を許可しているのは日本政府なのです。政府にそれを許しているのも日本国民です。
今回、タバコ一箱が300円台から400円台に値上がりし、禁煙する人も増えるでしょうという話になりますが、過去にもこのように少しずつの値上げはありました。その都度、マスコミの話題にはなりましたが、長期的には喫煙者を減らすことには、つながりませんでした。欧米のように500円台や600円台になると少しは効果があります。ドイツのように1000円になると効果が歴然とあるというのは既に判っていることです。この国が急激な税収減にならないように(つまり喫煙する人が、余り減りすぎないように)緩徐な値上げ方針を取っているのが現状です。
ご自分と周囲の方々の健康を考える方は、是非、禁煙外来をご利用下さい。ご自分一人では、成功率20%台です。禁煙外来利用では、50%近くの成功率となります。又、当院のように特別外来として時間を十分に取って行う禁煙外来では80%の成功率となっています。